アベノミクスで行われてきた「災害の景気対策化」について

アベノミクスでは解決になっていない、本質に変化がないという現実がある。

 

実体経済と向かい合わずに、予算を経済に流し込んでいるだけであったから、実体経済がゼロ成長だった。

 

ところでよく考えてみると、GDPがゼロパーセント成長で、借金して予算に流し込んでいるだけが真実とすれば、正味の経済規模は、つまり借金をしなければマイナス成長ということではないだろうか。

 

とすれば、財政状況から見ても深刻であるし、さらにそれに加えて、経済成長率の意味でも深刻であることが分かってくる。

 

日本は、全く経済的に成長せずに、つまり生産が向上せずに、でも国民も国も、誰もがその水準ときちんと向き合うことを避けていた。

 

そして、国などがただ予算を流し込むことで、実体経済を知ることを避け、現実逃避して「逃げる」ような体質だった。

 

だから、アベノミクスのような「悪夢」が、2013年6月14日の第二次安倍内閣の「日本再興戦略」でその全体像が明示されてから、岸田政権の2024年3月19日の日銀による金融政策会合での決定までの、11年もの長きの間行われ続けてしまった。

 

それが、戦後史上初の日本の深刻な危機を招く文字通りの悪夢であることに当時の国も国民も大半が気づいていなかった。

 

或は、知っていてもいまいち気づけていないということが現実だった。

 

結果として、政府債務残高対GDP比が2023年で、世界第一位のスーダン(252.23%)についで、第二位の249.67%になった。

 

借金の円ベースでの額でも、一位アメリカ(約2362兆円、対GDO比104.3%)、二位日本(約1300兆円、対GDP比237.1%)だった。

 

日本人同士が、たとえば財務省は洗脳していると洗脳し合って、かつ洗脳している人も海外から復興ビジネスのような際に洗脳を受けて、金銭感覚も麻痺して、予算の出動を多用することを許してしまっているという図式だったのではないだろうか。

 

正に、「洗脳化列島」のような状況だったのではないだろうか。

 

しかし、いまだにアベノミクスの時期の悪しき慣行であった、国民の銀行口座に直接現金を振り込む「現金給付」などは続いてしまっている。

 

アベノミクスについて、今まで、Xやブログ等様々な角度から述べてきたが、まだ言及していない点があったので補足しておく。

 

それは、東日本大震災からはじまる地震、大雪、水害等の、人の命がなくなる各種災害を、それへの復興のためにという触れ込みで、「震災ビジネス」、或は「復興ビジネス」として日本はビジネスしてしまっていったという点のことである。

 

復興のために、アベノミクスの矢の一つ、「国土強靭化」を行うという名目のために、公共事業として「災害の景気対策化」が行われていた。

 

しかも、そのための元手は、予算のマネー、つまりマイナスマネーから来ていて、そのマイナスマネーによる「儲け話」であった。

 

僕が指摘している、「幻の熱狂」であり、「最期の宴」だ。

 

とにかく人の命がなくなることをビジネスチャンスと捉えて、毎回災害の際に「景気対策」が行われていると思い込んでいたり、またはそれを期待してしまっていた。

 

借金が災害対策で増えていくだけなのに、お金を吐き出して、マイナスマネーを出動させて、予算のお金をただ右から左に流し込んでいくだけのことを景気対策と呼んでしまっていた。

 

お金を「吐き出す」機会を探すことに執念で傾注して、マイナスマネーを吐き出していくことを景気対策だと思い込んでいた、或は思い込まされている状況があった。

 

かつ、それは人の命が消えている災害だった。

 

しかもそのお金はマイナスマネーであったことに、正確な認識を持てていなかった。

 

震災や各種震災での景気対策と、それにまつわる。災害時に発生状況や被害情報を発信する「災害ジャーナリズム」は、マスメディアを通じて、国民を確実に洗脳していった。

 

その洗脳の内容は、金銭感覚の麻痺とマイナスマネーを通常のマネーと思わせることと、予算を流す安易さを持つように仕向けるような倫理の欠如、いわゆるモラルハザードの洗脳を招いた。

 

洗脳により、まるで意識にフィルターがかかったかのようだった。

 

僕が述べてきた「洗脳化列島」のことである。

 

国内で、アベノミクスについての洗脳を、マスコミや日本の政治家が国民に対して行って、その洗脳をしていたマスコミや日本の政治家も、マイナスマネーをマネーだと思うことと、金銭感覚の麻痺と、借金についてのモラルハザードを、海外から洗脳されていた。

 

僕が言っている洗脳化列島とは、そういった「事実的仮説」のことを意味する。

 

アベノミクスは実際は、マイナスマネーを注ぎ込んでいるだけの借金の多用だった。

 

福島からはじまった大震災とそれ以外の各種災害を、そしてその後の復興を景気対策として捉えてしまっていた。

 

そこに基本的な、しかしとても重大で深刻な問題点があった。

 

財政状況のさらなる急激な悪化という現実だ。

 

そして、アベノミクスが当初考えられたほどには、成果を上げていなかったという事実がある。

実質賃金の安倍政権下での一貫した下落したことや、非正規雇用者数の増加などの事実についてである。

 

株高を成果としてあげる人もいるが、税金を株に注ぎ込んでいるから、株価が上昇するのは当たり前だ。

 

しかし、それは自由主義の原理に背いている点をまったく考慮していない。

 

そういった意味でも、アベノミクスの犯した罪は非常に大きなものがあると言える。

 

その罪の内容とは、日本の経済のスタイルを、実体経済を無視してそこに税金を注ぎ込むように変化させるという、この国のモラルハザードを作ってしまったことである。

 

今こそ、量的緩和政策を終演させた次は、完全にアベノミクスの犯してしまった、こういったモラルハザードから脱却することを行うべきであると考える。

 

アベノミクスの罪は、マスコミや評論家や政治家の責任にとどまらず、この国に住む国民にも責任がある。

 

僕たち国民が、きちんと政治や経済の動向について、観察してチェックしていくという行いをやめるべきではない。

 

そのことを僕たち国民は決して忘れるべきではないと考える。

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