最近の日本のポピュリズム度合いは、あまりにも強すぎる。
安倍政権以降に、日本は急速にポピュリズムが進行した。
現在は、もってのほかの消費税廃止等の極論がまかり通っている。
そういった事態は防がないと国家財政が破綻してしまう。
でも、大半の政治家は何らかの意味でポピュリズムに加担してしまっている。
安易に国に借金をさせ、国民に「還元」してきた。
国に借金をさせ、国民の口座に現金を振り込むという愚挙を多用してきた。
国の借財は最終的には国民にそのつけが回るのは明らかであるのに、国民も、そういった政治家たちの甘言や、安易なポピュリズムに乗るという政治家同様愚挙を重ねてきた。
安倍晋三元首相のアベノミクスに洗脳されて、まるで集団催眠にかかっているように見える。
いつまでも国に借金をさせることをやめないと、いつまでも日本の財政破綻は進行していってしまう。
国家の破綻はイコールでそこに暮らす国民の破綻であるのに…。
それをきちんと国民に説明しない政治家と、何も解ろうともしない国民という、悪い循環が続いていた。
だから、今こそ財政規律を高め、借金財政を是正してゆくべきである。
岸田政権の大抵の政策は尊重されるべき良きものであったが、防衛費増額だけが愚策であった。
防衛費が、5年で43兆円もの多額に及び設定された背景に、時流に沿った政策は進められるべきだという、一種の社会的になされた刷り込みによる影響が、否定できない事実として、存在するのは明らかである。
時流であるというだけで、よく見てみると行うべき根拠が実際には存在しないことに気づく。
それなのに憲法改正を行うことも、その時流という価値観やドグマ的思考によってなされようとしている。
だから日本人は、憲法改正には断固として反対の姿勢を貫くべきである。
維新の大抵の政策はいいが、時流に乗った政策を唱えている印象があり、政策によっては多少慎重な扱いが必要なものも存在するように思える。
憲法9条やそれに関連した防衛論議のテーマについては、維新の言説に疑問を覚える面もある。
米国に乗っかって、安保条約の思いやり予算を出して防衛してもらい、米国の作った憲法9条に基づき、平和を貫いて、PKOのみの国際貢献に留めて海外派兵をまた控えてゆく、軌道の再修正を必要なのではないかと考える。
米国が作ってくれた憲法なのだから、米国もその憲法に基づいた日本の路線をあまり否定しないはずである。
いたずらに日本人が、他国と同じようなことを言い出して、先進国並みのGDP2%だとかいうような愚論を言い出すのは、あまりにも戦争を知らなさすぎるし、米国に守ってもらえるのに、守ってもらわないことをしてゆくことの愚かさの面もある。
戦争は人が死ぬという圧倒的事実を、今きちんと冷静に日本人は知るべきであると思う。
それに、思いやり予算は年間2000億円程度だから、防衛費増額の規模が5年で43兆円だから、倍の4000億円出してもそれほどの規模のものでない。
だから日本は、京大教授の、国際政治学者であり思想家でもあった高坂正堯の述べた、経済の国という形の「片務体制」の国に回帰すべきであると思う。
それは米国への「依存」ではなく、新たな戦略的な日本の国家としての方向性をよく鑑みた結果として、必然的に選択することが妥当であるような内容であると私は考える。
今日本で主流になっている、或はなってきている、日本の防衛についての独自力を高める方向性は、日本にとって必要のない戦争を自分から選択させてゆくという愚かな選択になっていることに、私たち日本人はいまいち気づけていないのではないか。
戦争をしないでいい憲法をもらっているのに、そしてその平和国家の道を歩んで高らかな経済を謳ってきたのに、それをあえて捨ててまで巨額の軍事費を費やして軍事国家化する道を歩む必要はないというのが、冷静に客観的に日本の現状を見た時の結論として適切であることを見失っているのではないだろうか。
43兆円積み上げてゆくより、思いやり予算を倍以上の高水準でも積み上げる方が圧倒的に低コストでもあるし、かつ何より私たちは自分たちで自分たちの国を防衛することをできる自衛隊は今でも所持しているのである。
それ以上一体何を必要とするのか甚だ疑問である。
だから現在行われている防衛論議の中枢は、単なる時流であるというだけで、その本質は空洞である。
今日本にとって必要なのは、経済を立て直すことであって、巨額の軍事費を積み上げて、赤字体質の軍需産業を作り軍隊を持って戦争する国になることではない。
防衛費の公共事業化は絶対に防ぐべき事態である。
軍需産業は赤字体質だと決まっているというのは、定説である。
国民一人当たり1000万円の借財を背負っているという圧倒的事実はとても深刻であるのだから。
だから、今から時代を転換し、「平和国家ニッポン」へと再び歩む道を見つけることが、国家としての日本にとって最善の道であると、私たちは気づくべきであると思う。
参考文献
日本国際政治学会 制度整備・自己点検タスクフォース企画「日本の国際関係論の再検討――『外圧反応型国家』としての 日本外交をめぐる研究の位相」日本外交分析の回顧と展望―安全保障政策を中心に―慶應義塾大学添谷芳秀